【初心者必見】LCLとは?国際輸送のコストを抑える基礎知識とFCLとの違いを徹底解説
   |    2025-10-24

初めて海外への貨物輸送を担当することになった方の中には、「送りたい荷物は少量だけど、どうすれば良いのだろう?」「国際輸送のコストはできるだけ抑えたい」といった課題やお悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。特に、コンテナ1本を借りるほどの物量がない場合、輸送方法の選択は悩ましい問題です。

この記事を読めば、小口貨物の輸送に最適なLCLの基本から、もう一つの主要な輸送方法であるFCLとの具体的な違い、そして自社の状況に合わせて最適な選択をするための実践的な基準まで、網羅的に理解することができます。この記事が、あなたが自信を持って最も費用対効果の高い輸送方法を選ぶための一助となれば幸いです。

▌まずは基本から!混載輸送(LCL)とは何か?

国際海上輸送の世界で耳にするLCLとは、「Less Than Container Load」の略称です。これは、コンテナ1本を丸ごと借りるのではなく、複数の荷主(貨物の送り主)がコンテナ内のスペースを共同で分け合って利用する輸送方法を指します。いわば、国際輸送における「相乗り便」のようなものです。

このLCL輸送の最大のメリットは、コンテナ1本分に満たない少量・小口の貨物であっても、物量に応じた料金で気軽に海上輸送を利用できる点にあります。貨物はフォワーダー(国際輸送業者)が指定するCFS(Container Freight Station)と呼ばれる保税倉庫に集められ、そこで同じ仕向け地へ送られる他の荷主の貨物と一緒に1つのコンテナに積み込まれます。このため、LCLは「CFS貨物」という別名で呼ばれることもあります。

▌LCLを深く理解する!FCLとの徹底比較

LCLの特性をより深く理解するためには、もう一つの主要な輸送方法であるFCL(Full Container Load)との比較が不可欠です。FCLとは、1つの荷主がコンテナ1本を完全に貸し切って輸送する方法で、LCLとは対極に位置します。あなたの貨物にとってどちらが最適かを見極めるために、メリット・デメリット、料金体系、そして適した貨物量という3つの重要な観点から、両者の違いを多角的に掘り下げていきましょう。

1.メリット・デメリットで見るLCLとFCLの違い

比較項目LCL(混載便)FCL(貸切便)
メリット・小ロット貨物のコストを大幅に削減できる
・物量が少なくても海上輸送を利用可能
・貨物の破損・紛失リスクが低い
・輸送期間が短く、納期管理が容易
・他の貨物の影響を受けない
デメリット・貨物の破損・紛失リスクが比較的高い
・集荷・仕分け作業のためリードタイムが長い
・輸送できる貨物に制限がある場合がある
・貨物量が少ないとコストが割高になる
・コンテナ内のスペースが余っても料金は変わらない

LCLはコスト面で非常に魅力的ですが、複数の貨物を積み合わせる過程で荷役回数が増えるため、貨物破損のリスクがFCLよりも高くなる傾向があります。また、貨物を集めたり、仕分けしたりする時間が必要なため、輸送期間(リードタイム)も長くなります。一方、FCLは安全性が高くスピーディーですが、貨物量が少ない場合には非効率で割高になってしまうという側面があります。

2.料金体系で見るLCLとFCLの違い

LCLの料金は、基本的に貨物の容積(サイズ)または重量のどちらか大きい方を基準に計算される従量課金制です。この計算単位は「RT(Revenue Ton)」と呼ばれ、「1立方メートル(㎥)」または「1トン(t)」を1RTとして扱います。たとえ非常に小さな貨物であっても、最低料金として「1RT」分の料金が課される「ミニマムチャージ」が設定されているのが一般的です。

一方、FCLの料金は、利用するコンテナ1本あたりの固定料金です。そのため、コンテナ内を貨物で満たすことができれば、1RTあたりのコストはLCLよりも格段に安くなります。この料金体系の違いから、貨物量によってどちらが経済的かが変わってきます。

3.結局どちらを選ぶ?貨物量で見る「LCLとFCLの違い」

では、具体的にどれくらいの貨物量からFCLを検討すべきなのでしょうか。 一般的に、貨物量(容積)が「約13㎥~15㎥」前後で、LCLとFCLの総コストが逆転すると言われています。つまり、この物量を超えると、コンテナを1本貸し切るFCLの方が、結果的に安くなる可能性が高まります。20フィートコンテナの最大積載容量が約30㎥であることを考えると、半分近く埋まるようであればFCLを検討する価値があると言えるでしょう。

ただし、この数値はあくまで一般的な目安です。実際の分岐点は、輸送ルート、港の混雑状況、利用するフォワーダーの料金設定など、様々な要因によって変動します。最終的な判断は、必ず複数のフォワーダーから見積もりを取得し、総費用を比較検討することが不可欠です。

▌具体的な流れを解説!LCLはどのような手順で輸送されるのか?

LCLはどのようなプロセスを経て貨物が届けられるのか、その具体的な流れを知ることで、輸送計画が立てやすくなります。LCL輸送は、貨物を集めて混載する「輸出地」での作業と、貨物を仕分けて配送する「輸入地」での作業に大別されます。FCL輸送との最大の違いは、この輸出入地双方のCFS(コンテナ・フレイト・ステーション)での作業工程の有無です。

1.輸出地の流れ

  • 貨物の集荷・CFSへ搬入
    荷主からの貨物が、フォワーダーによって集荷されるか、荷主自身によって指定のCFS(貨物の混載・仕分けを行う保税倉庫)へ搬入されます。

  • 検量・検尺・貨物状態の確認
    CFSで貨物の個数、容積(サイズ)、重量が計測され、外装に損傷がないかなどが確認されます。この情報が運賃計算の基礎となります。

  • 輸出通関
    必要な書類に基づき、税関に対して輸出申告が行われ、輸出許可を取得します。

  • バンニング(他社の貨物と混載)
    輸出許可が出た後、同じ仕向け地へ送られる複数の荷主の貨物が、効率的かつ安全に輸送できるよう考慮されながら、1つのコンテナに積み込まれます。この作業を「バンニング」と呼びます。

  • CY(コンテナヤード)への搬入と本船積載
    バンニングが完了したコンテナは、港のCY(コンテナ・ヤード)に運ばれ、クレーンによって本船に積載されて出港します。

2.輸入地の流れ

  • CFSへの搬入
    目的地の港に到着したコンテナは、CYから輸入地のCFSへ運ばれます。

  • デバンニング(貨物の仕分け)
    CFSでコンテナの封印が解かれ、中に積まれていた貨物が荷下ろしされます。この作業を「デバンニング」と呼びます。その後、貨物は積付表(CLP)に基づき、荷主ごとに丁寧に仕分けられます。

  • 輸入通関
    輸入者からの依頼を受けたフォワーダーが、税関に輸入申告を行い、関税・消費税を納付して輸入許可を取得します。

  • 貨物の引き取り・国内配送
    輸入許可後、貨物はCFSから引き取られ、トラックなどで指定された最終納品先へと配送されます。

▌失敗しないために知っておきたい!注意点と選択のポイント

これまでの情報を踏まえ、LCLとは何かを理解した上で、実際に利用する際に失敗しないための5つの実践的なポイントを解説します。これらの点を事前にチェックすることで、予期せぬトラブルやコスト増を避け、スムーズな国際輸送を実現できます。

ポイント1:総コストで比較検討する
LCLの見積もりを比較する際は、単純な海上運賃だけでなく、CFSでの貨物取扱手数料である「CFSチャージ」や、通関料、書類作成費用など、すべての費用を含めた総額で判断することが重要です。一見安く見えても、諸費用を加算すると想定より高くなるケースがあるため注意が必要です。

ポイント2:リードタイムを十分に確保する
前述の通り、LCLはCFSでの集荷・仕分け作業が伴うため、FCLに比べて輸送期間が長くなります。一般的に2日から1週間程度は余分に見ておく必要があります。特に、経由地が多いルートや、港が混雑する繁忙期はさらに遅延する可能性も考慮し、納期には十分な余裕を持ったスケジュールを組みましょう。

ポイント3:貨物の特性を確認する
LCLは混載輸送であるため、輸送できる貨物に一定の制限があります。例えば、冷蔵・冷凍品などの厳密な温度管理が必要な貨物、化学品などの危険品、強い匂いを発する貨物などは、他の貨物へ悪影響を及ぼす可能性があるため、基本的にLCLでの輸送は受け付けられません。自社の貨物がLCLで輸送可能か、必ず事前にフォワーダーへ確認しましょう。

ポイント4:梱包を堅牢にする
LCL輸送では、CFSでの積み下ろしや、輸送中のコンテナ内での揺れなど、貨物が複数回の荷役作業や他の貨物との接触にさらされます。そのため、段ボール箱だけでなく、木箱やクレートを用いたり、パレットにしっかりと固定(シュリンク包装やバンド掛け)したりするなど、FCL輸送時以上に頑丈な梱包が不可欠です。

ポイント5:信頼できるフォワーダーを選ぶ
LCL輸送は、FCLに比べて工程が複雑で、多くの関係者が関わります。貨物の集約から仕分け、通関、配送までの一連の流れをスムーズに管理・調整してくれるフォワーダーの能力が、輸送の成否を大きく左右します。料金だけでなく、小口貨物の取り扱い実績が豊富か、トラブル時のサポート体制は整っているかといった観点から、信頼できるパートナーを選ぶことが成功の鍵です。

▌まとめ:LCLは小口貨物の強い味方!自社に最適な輸送方法を選ぼう

本記事では、国際輸送におけるLCLについて、その基本からFCLとの違い、具体的な輸送フロー、そして利用時の注意点までを詳しく解説しました。結論として、LCLはコンテナ1本に満たない小口貨物の輸送コストを劇的に削減できる、非常に有効で強力な選択肢であると言えます。

一方で、輸送期間が長くなる、貨物破損のリスクが相対的に高まる、といったデメリットも無視できません。最適な輸送方法を選択するためには、まず自社のビジネスにとって何が最も重要かを明確にすることがスタートラインです。「貨物量」「納期(スピード)」「貨物の性質(安全性)」「コスト」という4つの要素に優先順位をつけ、LCLとFCLのどちらがその要件に合致するかを検討しましょう。そして最終的には、この記事で得た知識を基に、信頼できるフォワーダーに相談し、具体的な見積もりと提案を受けることが、失敗のない国際輸送を実現するための最も確実なステップとなるはずです。

▌よくある質問(FAQs)

Q1. LCLとFCLのどちらがお得になるか、貨物量の目安を具体的に教えてください。

 一般的に、貨物の容積が約13㎥未満であればLCL、それ以上であればFCLの方がコスト効率が良いとされています。ただし、これはあくまで目安であり、輸送ルートや時期、フォワーダーの価格設定によって変動するため、必ず複数のフォワーダーに見積もりを依頼して総費用で比較してください。

Q2. LCLで輸送できない貨物には、どのようなものがありますか?

 冷蔵・冷凍品などの厳密な温度管理が必要な貨物、生鮮食品、法律で定められた危険品、強い臭気を放つ貨物(香料、一部の化学薬品など)、穀物や飼料のようなバラ積みの貨物などは、他の混載貨物への品質影響や安全性の観点から、LCLでの輸送が断られることがほとんどです。輸送を計画する前に、貨物の性質をフォワーダーに伝え、輸送可否を確認することが必須です。

Q3. LCLのリードタイムはFCLより、どれくらい長くなりますか?

 輸出地での貨物集約・バンニング作業と、輸入地でのデバンニング・仕分け作業が必要となるため、FCLに比べて2日から1週間程度長くなるのが一般的です。特に、複数の港を経由するルートや、大型連休前後などで港が混雑する時期は、さらに時間がかかる可能性がありますので、余裕を持った計画が重要です。

Q4. LCLでの貨物破損が心配です。梱包で特に気をつけることは何ですか?

 複数回の荷役作業や他の貨物との接触に備えることが重要です。通常の段ボール梱包だけでなく、可能であれば貨物をパレットに載せてシュリンクラップやバンドで固定する、あるいは木箱やクレートで外装を強化することを強く推奨します。また、梱包の外側には「天地無用」「FRAGILE(壊れ物注意)」「DO NOT STACK(段積み禁止)」などのケアマークを、誰が見ても分かるように大きく、かつ明確に表示することも、貨物を守る上で非常に効果的です。

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