BtoB越境ECの利益を最大化する「PingPong決済」とは?手数料1%の海外送金サービスを徹底解説
   |    2025-09-20

BtoB越境ECの成功は、低コストで迅速、かつ安全な決済システムの選択にかかっています。本記事では、手数料1%という画期的なレートを掲げる「PingPong決済」に焦点を当て、その機能、メリット・デメリット、そして他の主要サービスとの比較を通じて、あなたのビジネスに最適な決済戦略を構築するための具体的な構成案を提示します。

▌BtoB越境ECで無視できない決済サービスの選択

グローバル市場でのビジネス拡大において、決済プロセスの最適化は収益性に直結する重要な経営課題です。特にBtoB越境ECでは、取引額が大きくなる傾向があり、決済手数料や入金サイクルがキャッシュフローに与える影響は無視できません。

伝統的な国際送金では、高コスト・処理遅延・不透明性・為替リスクなどがよく見られる課題です。従来の銀行経由の国際送金は、複数の仲介銀行を経由するため手数料が高額になりがちで、2022年の世界平均送金コストが約6.5%でした。そして、銀行による送金プロセスの複雑さにより、着金までに3〜5営業日以上を要することが多く、資金繰りを圧迫する要因となり、資金の追跡も困難な場合があります。さらに、海外取引に避けられない為替リスクです。為替レートの変動により、想定していた受取額と実際の入金額に差異が生じるリスクが低くありません。

決済サービスの選択は、単なるコスト削減の問題ではありません。取引の安全性確保、キャッシュフローの改善、そして海外パートナーとの信頼関係構築の基盤となる戦略的な意思決定です。

▌日本でよく使われる決済サービス

日本国内の事業者が越境ECで利用する決済サービスには、いくつかの主要な選択肢があります。ここでは、代表的なサービスであるPayPal、Stripeと、今回注目するPingPongを比較し、それぞれの特徴を把握します。

比較項目PingPongPayPalStripe
手数料1%以下決済手数料: 3.6% + 固定手数料クレジットカード: 3.6%
処理速度当日〜3営業日
(Amazon日本では当日〜翌日も可能)
即時〜数営業日入金サイクルを自由に設定可能
主な特徴
  • 越境ECに特化

  • 圧倒的な低手数料

  • サプライヤーへの直接支払い機能 (Supplier Pay)

  • 圧倒的な世界的知名度と利用者数

  • 100種類以上の通貨に対応

  • 導入が手軽

  • ECサイト上で決済完結

  • 高いカスタマイズ性

  • 不正利用対策機能が充実

安全性
  • 各国で金融ライセンスを60以上取得

  • SOC 2 Type 1認証

  • Tier-1銀行との提携

  • 買い手保護・売り手保護制度

  • クレジットカード情報を相手に伝えない仕組み

  • PCI DSS レベル1準拠

  • 機械学習による不正検知

▌PingPongとは?

PingPongは、2015年にニューヨークで設立された、グローバルな越境EC事業者のための決済プラットフォームです。中小企業のグローバル展開支援をミッションに掲げ、低コストかつ高速な決済ソリューションを提供しています。現在、200以上の国・地域における100万以上のオンラインマーチャントがPingPongを利用しており、累計900億ドル以上の取引を処理しました。また、PingPongはBtoB取引を加速させるために、マルチカレンジーアカウント、Supplier Pay機能、主要ECプラットフォームとの連携やVAT/税金支払いなど一連の機能を備えています。

マルチカレンシーアカウント: 米ドル、ユーロ、日本円など16以上の主要通貨で支払いを受け取り、資金を管理できます。

Supplier Pay機能: サプライヤーへの支払いを効率化するBtoB向け機能。国際サプライヤーに対し、為替手数料を節約しながら現地通貨で迅速に支払うことが可能です。

主要ECプラットフォームとの連携: Amazon、Shopify、Wish、Rakutenなど、世界中の主要なマーケットプレイスに対応しています。

VAT/税金支払い: 欧州のVAT(付加価値税)支払いをはじめ、各種税金の支払いをプラットフォーム上で完結できます。

▌PingPong決済の強さと弱さ

PingPongは多くのメリットを提供する一方で、導入前に理解しておくべき弱みも存在します。客観的な視点でその両面を分析します。

強み(メリット)|安全性と安さを兼ねる

  • 圧倒的なコスト競争力: 業界平均の2〜5%と比較して、取引手数料1%以下は最大の魅力です。これにより、売上利益を大幅に改善できます。

  • 迅速なキャッシュフロー: Amazon Japanでは最短当日の入金が可能なほか、サプライヤーへの支払いもリアルタイムに処理。資金繰りの安定化に貢献します。

  • グローバルな規制遵守と安全性: 米国、EU、日本を含む世界60以上の金融ライセンスを取得。厳格なAML(マネーロンダリング対策)/KYC(本人確認)プロセスで安全な取引を保証します。

  • BtoBサプライチェーンの最適化: Supplier Pay機能は、海外工場や仕入先への支払いを効率化し、為替コストを削減します。

弱み(デメリット)|日本国内で実績がまだ少ない

  • 日本国内での実績: グローバルでの実績は豊富ですが、日本国内のBtoB企業における具体的な導入事例や詳細なデータはまだ少ない状況です。

  • 手数料体系の透明性: 基本手数料は明瞭ですが、一部のサービスに関する詳細な手数料は、直接アカウントマネージャーへの問い合わせが必要な場合があります。

  • ECセラーへの特化: もともとECセラー向けに開発された側面が強く、複雑な要件を持つBtoB取引のすべてに完全に対応できるか、事前の確認が必要です。

▌PingPong決済の注意点

PingPongの導入を具体的に検討する際には、以下の点に注意することで、スムーズな活用とリスクの最小化が可能になります。

自社の取引フローとの適合性確認 自社のサプライヤーや顧客との取引形態、使用通貨、取引頻度などを整理し、PingPongの機能がそれに適合するかをデモや問い合わせを通じて事前に確認してください。特に、

1. Supplier Pay機能が自社のサプライチェーンで有効に機能するかは重要な判断基準です。

2. 手数料の詳細確認:公式サイトに記載されている基本手数料に加え、為替レートに含まれるマークアップ(スプレッド)や、特定の操作にかかる可能性のある追加費用について、カスタマーサポートや営業担当者に明確に確認しましょう。

3. サポート体制の確認:越境取引では予期せぬトラブルが発生する可能性があります。日本語によるサポートの対応時間や対応範囲、レスポンスの速さなどを事前に確認しておくことが、安心して利用するための鍵となります。

4. アカウントブロックのリスク管理:一部のレビューでは、コンプライアンス上の理由によるアカウントの一次凍結が報告されています。利用規約を遵守し、取引の正当性を証明できる書類(請求書など)を常に準備しておくことで、リスクを低減できます。

5. 段階的な導入の検討:最初からすべての取引をPingPongに切り替えるのではなく、まずは特定の国やサプライヤーとの取引で試験的に利用し、その効果と運用を検証した上で本格導入を進めるのが賢明なアプローチです。

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