クラウド初心者でも怖くない!ITのプロが教える「クラウドの使い方」完全ガイド
   |    2025-09-21

「クラウド」と聞くと、なんだか難しそう、技術者向けの話で自分には関係ない、と思っていませんか?

もしそうなら、非常にもったいないことです。現代において、クラウドはITにおける「電気」や「水道」のような社会インフラになりつつあります。私たちは電気の仕組みを詳しく知らなくてもスイッチひとつで明かりをつけ、水道の配管を知らなくても蛇口をひねれば水を使えます。クラウドもそれと同じで、複雑な仕組みをすべて理解しなくても、その恩恵を手軽に受けられる便利な道具なのです。

この記事は、まさにそのような初心者を対象としており、最後まで読めば、以下のゴールを達成できるでしょう。

  • クラウドが「何」で、「なぜ」便利なのかを自分の言葉で説明できるようになる。

  • SaaS、PaaS、IaaSといったサービスの違いを理解し、自分の目的に合ったものを選べるようになる。

  • クラウド活用の具体的なイメージが湧く。

さあ、一緒にクラウドの世界を探検していきましょう。

▌クラウドとは何か(身近なたとえで理解)

クラウド(クラウドコンピューティング)とは、一言でいえば「インターネットを通じて、コンピュータの機能やデータを必要な時に必要なだけ借りて使う仕組み」のことです。

従来は、ソフトウェアを使うにも、データを保存するにも、自前で高価なサーバーコンピュータを購入し、社内に設置・管理する必要がありました(これをオンプレミスと呼びます)。これは、自家発電機や井戸を自前で用意するようなもので、多大なコストと手間がかかります。

クラウドは、この「所有」するモデルから「利用」するモデルへの転換です。インターネットの向こう側にある巨大なデータセンターに存在するサーバーやストレージ、ソフトウェアを、サービスとして利用するのです。

身近なクラウドの例だといえば、以下のようなものが挙げられます。

  • GmailやOutlook: メールデータは自分のPCではなく、GoogleやMicrosoftのサーバーに保存されています。

  • DropboxやGoogle Drive: 写真や書類を保存し、どのデバイスからでもアクセスできます。

  • NetflixやSpotify: 映像や音楽の膨大なデータはクラウド上にあり、ストリーミングで楽しめます。

これらはすべてクラウド技術の上に成り立っています。

ちなみに、クラウドサービスは世界中に点在するリージョン(特定の地理的領域)と、その中にある複数のアベイラビリティーゾーン(独立したデータセンター群)によって構成されています。これにより、一部の地域で災害が起きてもサービスが停止しない高い可用性を実現しているのです。

▌なぜクラウドを使うのか|メリット・デメリット

多くの企業がクラウドへ移行するのは、それに見合うだけの明確なメリットがあるからです。もちろん、注意すべき点も存在します。ここでは、双方をバランス良く見ていきましょう。

1. クラウドの主なメリット

  • スピードと俊敏性の向上: 物理的なサーバーの購入や設定が不要なため、数分から数時間で新しいシステム環境を構築できます。これにより、ビジネスの変化に素早く対応できます。

  • 初期費用の削減: 高価なハードウェアやソフトウェアライセンスを事前に購入する必要がありません。多くは月額制や従量課金制(使った分だけ支払う)なので、スモールスタートが可能です。

  • 柔軟な拡張性(スケーラビリティ): アクセスの増減に合わせて、CPUやメモリ、ストレージなどのリソースを柔軟に拡大・縮小できます。例えば、キャンペーンでアクセスが急増した時だけサーバーを増強し、終われば元に戻すといった運用が可能です。

  • 運用・保守の負担軽減: サーバーの物理的な管理、セキュリティパッチの適用、ハードウェアの故障対応などはクラウド事業者が行ってくれます。これにより、自社のIT担当者は、よりビジネス価値の高い業務に集中できます。

  • 場所を選ばないアクセス: インターネット環境さえあれば、オフィス、自宅、外出先など、どこからでも同じデータやシステムにアクセスでき、リモートワークやグローバルな協業を強力に推進します。

2. クラウドのデメリット(注意点)

  • 継続的なランニングコスト: 初期費用は低い一方、利用し続ける限り料金が発生します。利用状況を適切に管理しないと、想定外のコストになる可能性もあります。

  • 学習コストと専門知識: 効果的に活用するためには、クラウドサービスに関する知識が必要です。特に自由度の高いサービスほど、設定や運用に専門性が求められます。

  • ベンダーロックインのリスク: 特定のクラウド事業者のサービスに深く依存すると、将来的に他のサービスへの乗り換えが困難になる場合があります。

  • セキュリティ設定の責任: クラウド事業者は強固な基盤セキュリティを提供しますが、アクセス権限の設定など、利用者側の設定ミスによる情報漏洩のリスクは常に存在します。クラウドの利用は「責任共有モデル」に基づいていることを理解する必要があります。

▌サービスモデルによるクラウドの種類|SaaS、PaaS、IaaS

クラウドサービスは、提供される機能の範囲によって、大きく3つのモデルに分類されます。これは、料理にたとえると非常に分かりやすくなります。

外食(SaaS): レストランに行き、完成した料理を注文して食べるだけ。

総菜・ミールキット(PaaS): 調理済みの総菜や下ごしらえ済みのミールキットを買い、自宅で温めたり簡単な調理をするだけ。

自炊(IaaS): スーパーで食材や調味料を買い、キッチン(インフラ)を使って自分で一から料理する。

これをITの世界に置き換えたのが、SaaS (サース)、PaaS (パース)、IaaS (イアース) です。責任範囲と自由度の違いを以下の表にまとめました。

項目IaaS (Infrastructure as a Service)PaaS (Platform as a Service)SaaS (Software as a Service)
サービスモデルサーバーやストレージなどITインフラを提供アプリ開発・実行環境(プラットフォーム)を提供完成したソフトウェアを提供
ユーザーの管理範囲
  • アプリケーション

  • データ

  • ミドルウェア

  • OS

  • アプリケーション

  • データ

  • ソフトウェアの設定

提供者の管理範囲
  • 仮想化基盤

  • サーバー

  • ストレージ

  • ネットワーク

(IaaSの範囲に加えて)

  • ミドルウェア

  • OS

(PaaSの範囲に加えて)

  • アプリケーション

特徴最も自由度・柔軟性が高い。オンプレミスに近い構成が可能。開発に集中できる。インフラ管理が不要。導入が最も簡単。すぐに利用可能。
向いている用途
  • 独自のシステムを構築したい

  • 既存システムをクラウドに移行したい

  • Webアプリやサービスを迅速に開発したい

  • メール、情報共有、CRMなどをすぐに使いたい

代表例Amazon EC2、Google Compute EngineGoogle App Engine、 HerokuGmail、 Microsoft 365、 Salesforce、OKKI
企業のクラウド利用動向:企業のクラウドサービス利用は年々増加しており、総務省の『令和5年版 情報通信白書』によると、クラウドサービスを一部でも利用している企業の割合は72.2%に達しています。中でも、手軽に始められるSaaSが最も広く普及しています。 

クラウドの利用初心者の方は、まずはGmailやMicrosoft 365、あるいは業務で使うCRM(顧客関係管理)ツールのようなSaaSから利用を始めるのが最も手軽で、クラウドの利便性を実感しやすいでしょう。

▌導入形態によるクラウドの種類|パブリック、プライベート、ハイブリッド、マルチクラウド

クラウドは、誰がどのように利用するかに応じて、いくつかの導入形態に分かれます。

1. パブリッククラウド

特徴: AWS、Microsoft Azure、Google Cloudなど事業者が提供する、不特定多数のユーザーが共有して利用するクラウド。

メリット: 低コスト、導入が迅速、高い拡張性。

デメリット: カスタマイズ性に制限があり、セキュリティ要件が厳しい場合は不向きなことも。

向き不向き: スタートアップ、Webサービス、開発環境など、コストとスピードを重視する場合に最適。クラウド使い方初心者が最初に試すなら、まずこれです。

2. プライベートクラウド

特徴: 特定の企業が専用に利用するクラウド環境。自社内に構築するオンプレミス型と、データセンターの一部を借りるホスティング型がある。

メリット: 高いセキュリティとカスタマイズ性。自社のポリシーに合わせた厳格な管理が可能。

デメリット: コストが高く、導入・運用に専門知識が必要。

向き不向き: 金融機関や官公庁など、非常に高いセキュリティやコンプライアンスが求められる基幹システム向け。

3. ハイブリッドクラウド

特徴: パブリッククラウドとプライベートクラウド(またはオンプレミス)を組み合わせて利用する形態。

メリット: 両者の「いいとこ取り」が可能。例えば、機密データはプライベートに、通常業務はパブリックに置くことで、セキュリティとコスト効率を両立できます。

デメリット: 設計や運用が複雑になり、管理が難しい。

向き不向き: 既存のオンプレミス資産を活かしつつクラウドのメリットを享受したい企業や、事業継続計画(BCP)対策を強化したい企業向け。

4. マルチクラウド

特徴: 複数の異なるクラウド事業者のサービスを組み合わせて利用する戦略。例えば、A社のAI機能とB社のデータベースを使い分けるなど。

メリット: 各サービスの強みを活かせる。特定ベンダーへの依存(ロックイン)を回避できる。

デメリット: 運用管理がさらに複雑化し、コスト管理も難しくなる。

向き不向き: システムの最適化を徹底したい、あるいは障害リスクを極限まで分散させたい、技術力の高い上級者向けの構成。

▌海外展開を成功に導く次世代CRMソリューション

この記事で見てきたように、クラウド、特にSaaS型のCRMは、ビジネスを加速させる強力なエンジンです。特に海外展開においては、リアルタイムな情報共有基盤が成功の鍵を握ります。

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