【無料ツール推薦】海外進出の初期調査:進出国の確定は第一歩
   |    2025-09-10

グローバル化が進む現代において、多くの企業が成長機会を求めて海外進出を検討しています。しかし、その道は平坦ではなく、成功のためには慎重な計画と戦略が不可欠です。特に、最初のステップである「進出国の選定」は、その後の海外展開全体の成否を左右する極めて重要な意思決定です。

本記事では、海外進出の初期調査において、データに基づいた客観的な進出国選定を可能にする3ステップのアプローチを解説します。無料で利用できる強力なツールも紹介しながら、海外進出に必要なことの核心に迫ります。

一、海外展開で避けられない課題

海外進出を目指す企業が直面する課題は多岐にわたります。

  • 目標市場の調査・確定が難しいどの国に最もポテンシャルがあるのか、客観的な判断が困難。

  • 見込み顧客の発見が困難現地のネットワークがなく、誰にアプローチすれば良いか分からない。

  • コミュニケーションの壁言語や文化の違いが、商談やマーケティングの障壁となる。

  • 法規制や商習慣への対応各国独自のルールに適応するためのコストと時間がかかる。

これらの課題の根源をたどると、多くが最初の「目標市場の確定」の曖昧さに起因しています。基礎となる海外市場の選定が不正確であれば、その上にどれだけ精巧な戦略を築いても、ビジネスは安定しません。したがって、海外進出の第一歩は、データに基づき、自社に最適な市場を見極めることにあります。

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二、目標市場の確定・一般的な手法

適切な市場を選ぶことは、海外展開の成功に不可欠です。

海外市場の調査は、展示会への参加や現地視察、コンサルタントへの依頼などが主流でした。また、JETRO(日本貿易振興機構)のような政府系機関が提供する情報を活用することも有効な手段です。これらの支援は、各国のマクロ経済情報や規制に関する信頼性の高い情報を提供し、海外展開の基盤となる知識を与えてくれます。

しかし、これらの手法に加え、現代ではテクノロジーを活用して、より迅速かつ客観的に潜在市場を特定することが可能になっています。

三、海外進出の初期調査支援:無料ツール推薦

ここでは、データドリブンで進出国を確定するための具体的な3ステップのアプローチを、推薦ツールと共に紹介します。

Step 1:潜在市場を狙い、適切な国を選ぶ

まずはマクロな視点から、自社製品・サービスとの親和性が高い国をリストアップします。勘や経験だけに頼るのではなく、公的で信頼性の高いデータを活用することが成功の鍵です。

1.権威あるデータソースを利用した市場分析

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国連統計部が作成した、商品貿易に関するデータベースです。国連に加盟する約200の国や地域の貿易統計機関によって報告された、詳細な輸出入統計レコードが収録されています。特定の製品(HSコード)がどの国からどの国へ、どれくらいの量が輸出入されているかを詳細に分析することができます。

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国際貿易センター(ITC)が提供する無料のツールで、特定の輸出国・製品に対してどの国に最も輸出ポテンシャルがあるかをAIが分析・可視化します。

2.特定市場のポテンシャルデータを分析

これらのツールを使うことで、膨大なデータの中から価値あるインサイトを抽出できます。

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3.データ統合戦略

収集したデータをただ眺めるだけでは不十分です。以下の4つの次元でデータを統合・評価し、優先順位を決定します。

  • 出現頻度:複数のデータソースや分析で、有望な市場として頻繁に名前が挙がる国。

  • ポテンシャル指数:輸出ポテンシャルマップなどが示す、市場規模や成長性のスコア。

  • 利益水準:対象市場の平均的な価格水準や競合状況から予測される収益性。

  • 上昇速度:近年の輸入額の伸び率など、市場の成長トレンド。

Step 2:業界経験を活かし、精度の高い目標を設定する

マクロ分析で有望な市場を絞り込んだら、次はミクロな視点、つまり競合の動向を分析します。

1.競合分析サイトツール

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自社のウェブサイトを入力するだけで、GoogleがAIを用いて関連性の高い海外市場を推薦してくれるツールです。

2.AI分析による意思決定支援

  • ChatGPTの活用:競合他社のURLを入力し分析を依頼するだけで、質の高い初期分析レポートを簡単に作成できます。 

  • OKKI AI:貿易データや顧客の行動履歴をAIが分析し、潜在的な市場機会やパートナー企業を特定します。

3.目標設定フレームワーク

分析結果を基に、具体的で測定可能な目標を設定します。「SMARTの法則」を活用すると効果的です。

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Step 3:自社データから成長機会を見つける

最後のステップは、最も価値がありながら見過ごされがちな「自社データ」の深掘りです。既存の顧客や取引データの中に、海外展開のヒントが隠されています。分析から得られたインサイトを、具体的な行動に移します。

  • データ収集:過去12ヶ月の取引データを収集し、上記のフレームワークに基づいて整理・分類する。

  • 市場分析:ステップ1で紹介した国連データやGoogle Market Finderを使い、自社データで浮かび上がった有望国を含む3〜5の潜在市場を改めて詳細に分析・比較する。

  • 戦略策定:特定したターゲット市場ごとに、具体的なマーケティングプラン、価格戦略、顧客階層管理システムを構築する。

1.データ統計分析フレームワーク

過去の取引データを、以下のフレームワークで整理・分析します。これにより、どの国、どのタイプの顧客が最も自社に貢献しているかが一目瞭然となります。

(国)

卸売業者

オフライン小売業者

オンライン小売業者

製造業者

大手企業顧客

数量

取引額

単価

数量

取引額

単価

数量

取引額

単価

数量

取引額

単価

数量

取引額

単価

このフレームワークから、以下の4つの次元でブレークスルーポイントを探ります。

  • 国家:取引額や利益率が特に高い国に注目。

  • 顧客タイプ:卸売業者、小売業者、製造業者など、どのタイプが高い利益をもたらしているか。

  • 規模:顧客セグメントごとのニーズやパターンを分析。

  • 価値:リピート率の高い優良顧客を特定。

2.成功の鍵となる要因

このアプローチを成功させる核心原則は以下の4つです。

  • 集中:最もポテンシャルの高い市場と顧客セグメントにリソースを集中。

  • 差別化:競合分析に基づいて自社の独自性を明確化。

  • 最適化:絶えず戦略を見直し改善を図る。

  • 顧客関係の構築:優良顧客との関係を深め、長期的なパートナーシップを築く。

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