なぜ今「海外営業×AI」なのか？
①国内市場の縮小と、海外市場の可能性
日本国内では少子高齢化により市場が縮小傾向にあり、多くの企業が新たな成長機会を海外市場に見出しています。続く円安や、日本製品の品質の良さや独自性に魅力を感じる顧客も多いため、大きなビジネスチャンスが存在しています。
②中小企業に立ちはだかる海外営業の3大ハードル（言語・時差・人手）
一方で、海外営業には、多言語対応、現地の商習慣理解、営業人員の確保、顧客対応の即応性など、さまざまなハードルがあります。中小企業では、限られた人材と予算の中でこれらを乗り越えることが困難であり、「挑戦したくてもできない」状態が続いていました。
③AIの進化が営業のあり方を変えている
近年、AIテクノロジーの進化により、こうした制約をテクノロジーで解決する動きが加速しています。AIは単なる作業効率化のツールではなく、「営業力を拡張するパートナー」として活用できる段階に入ってきています。
海外営業にAIを活用するケース
①多言語でのメール自動作成・送信
AIは、ターゲットとする国や地域の言語で営業メールを自動生成し、文法や語彙、トーンの違いを踏まえて適切な表現に整えてくれます。単なる翻訳だけではなく、現地の商習慣や文化に合わせた表現を取り入れることができるため、より自然で信頼感のあるコミュニケーションが可能になります。また、生成されたメールはテンプレート化できるため、複数言語に対してもスピーディに対応できます。
②顧客反応の自動分析とスコアリング
送信したメールに対してどれだけ反応があったかを自動的に分析し、見込み度の高い企業をスコアリングします。スコアの高いリードに優先的にアプローチできるため、営業の精度と効率が格段に向上します。
③時差を超えた24時間アプローチ
AIは、人間が働けない深夜や休日でも稼働し続けます。たとえば日本時間の深夜に欧米の企業へ営業メールを送ることも可能です。これにより、商機を逃さないノンストップ営業が実現します。
AIを活用した海外営業のメリット・デメリット
①メリット｜リソース不足でもスピード感あるアプローチが可能
短時間で大量の企業に接触できる
従来のように一件一件手作業でメールを作成・送信する必要がなく、AIが一度に数百社・数千社へ最適化された営業メールを発信することが可能です。人手では不可能な規模のアプローチを自動で実行できます。言語対応・時差対応が不要になる
AIは多言語に対応し、時差を気にせず24時間営業活動を続けることができます。海外との連絡において「返事が遅れる」「夜間に対応できない」といった機会損失を防げます。感覚や経験に頼らず、データに基づいた営業が可能
営業の優先順位や対応方針が、AIによるスコアリングや過去データの分析によって決まるため、属人的な判断に依存せず、再現性のある営業活動ができます。スモールスタートが可能
大掛かりな現地法人や駐在員の設置をせずとも、まずはオンラインで営業活動を開始できるため、海外進出の初期投資リスクを抑えられます。
②デメリット｜商談・交渉はまだ人間の役割
高度な商談や価格交渉、契約調整は人間の関与が必要
商談の後半になるにつれ、相手との信頼関係や交渉力が求められる場面が増えます。こうしたシーンでは、経験と判断力を持った人間の営業担当が不可欠です。相手の感情を読む、柔軟に対応する力はAIには不十分
顧客のちょっとした反応やニュアンスを汲み取って対応を変えるような繊細なやり取りは、現時点ではAIの苦手領域です。AIを導入したからといって、すぐに成果が出るわけではない
営業戦略の精度や、リストの質、運用体制によって成果には差が出ます。導入後も改善を重ねていく"仕組みづくり"が成功には不可欠です。
まとめ
AIを活用すれば、海外営業は特別なスキルを持った限られた人材が行う業務から、「誰でも再現性を持って取り組める仕組み」へと変化します。
国境・言語・時差という物理的な制約を、テクノロジーの力で乗り越える。これは中小企業にとって、これまでにない大きなチャンスです。
